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PAUL DANGIN
ポール・ダンジャン

職人的な栽培家にして英国王室御用達シャンパーニュメゾン
ポール・ダンジャン

ポール・ダンジャンシリーズ

メゾン・ポール・ダンジャン・エ・フィスの歴史

ポール・ダンジャン
メゾン・ポール・ダンジャン・エ・フィスは、シャンパーニュ地方の南東側、コート・デ・バール地区のセル・シュール・ウルスに、1947年に設立されたメゾンです。元来はブドウ栽培家の家系で、代々受け継がれるブドウの品質は、非常に高く評価されてきました。Moet & ChandonやMumm、ボランジェといった大手メゾンへとブドウを供給していましたが、ポール・ダンジャン(1921年生、14歳からブドウ栽培に従事)は、一部のブドウを自らのシャンパーニュを創り出すために残すことを決断しました。

収穫後すぐに販売できるブドウと異なり、シャンパーニュ造りには長い年月を要します。ブドウの販売量を減らしたことで収入が減少し、非常に厳しいチャレンジでしたが、この試みは成功を納めます。大手生産者から請われる程の高い品質のブドウから生み出されたシャンパーニュは、次第に評判を呼び、徐々に顧客が付いてきました。

幸運なことに、創始者のポールは5人の息子と1人の娘の子宝に恵まれました。そして5人の息子たちと、娘の夫Jean-Marie Fays(ジャン=マリー・フェイ)も義父の仕事を手伝うため、メゾンに参画してきたのです。

ポールの哲学のもと、少人数の家族経営を頑なに守ってきたため、クオリティに対する基準が明確で、非常に安心できるメゾンとして、徐々に評価を得るようになりました。そのおかげで多くのレストランやブティックへもシャンパーニュを供給するまでに成長しました。

現在は、ダンジャン家14人がドメーヌに携わっています。親戚・家族間でとても仲が良いだけでなく、創始者ポールの想いを受け継いでゆくという意識が非常に強いのも特徴です。設立者ポール・ダンジャンから始まったメゾンは、今ではシャンパーニュ地方最大の家族経営メゾンとなっています。

原料ブドウは、設立時から一貫して、それぞれの家が所有する畑からの収穫のみです。実質はRM(レコルタン・マニュピュラン)ですが、同家とはいえ、複数の家族からのブドウでシャンパーニュを仕込むため、便宜上NM(ネゴシアン・マニュピュラン)となっています。

英国王室御用達の栄冠

シャンパーニュに特別な影響力をもつ「英国王室御用達」の栄冠は大変な誉れとなり、品質の高さを認められたという証となります。 ポール・ダンジャンのフラッグシップである「カルト・ノワール」が、英国王室御用達ワイン商である「J&B社(ジャステリーニ&ブルックス社)」によって推薦され、採用されました。その後数度、J&B社のラベルで王室での式典の際に納められています。

J&B社は王室御用達の「ロイヤル・ワラント」に指定される業者であり、公に王室の紋章を使用することができます。J&B社は 王室御用達の「ロイヤル・ワラント」に指定される業者であり、公に王室の紋章を使用することができます。同社の採用を受けたポール・ダンジャンも、同様に英国王室御用達の栄誉を謳う許しを得ています。現在複数のブランドが英国王室御用達としてその栄誉を受けていますが、いずれも大規模経営を行う会社ばかりです。その中にあって、ポール・ダンジャンは唯一家族経営のシャンパーニュメゾンとして英国王室へワインを提供しています。

また、ポール・ダンジャンはフランス国内でも高い評価を得ています。
例えばパリの由緒ある名店Maxime(マキシム)がポール・ダンジャンへ委託し、ハウスシャンパーニュを造っているという事からも、その社会的な評価を推し量ることができます。
記念ボトル裏面のテキストには、以下のように記されています。
J&Bラベル


justeriniの記念キュヴェを造るのは、もう何年も前から家族経営のDangin家という生産者である。
このキュヴェは、主に瓶内で3年間以上熟成されたピノノワール種のシャンパーニュで造られている。
この惜しみない手間のおかげで、構造のしっかりしたボディ、トーストのフレイヴァーを持つだけでなく、偉大なエレガンスと果実味も兼ね備えた味わいがもたらされた。
どんなシーンでも対応できる、使い勝手のよい1本である。

ポール・ダンジャン

ジャン=バティスト
maison PAUL DANGIN
NOS CUVEE


ポールダンジャンのラインナップは、大きく分けると二つのシリーズで構成されています。
世代を超えて受け継がれる、伝統的な製法を踏襲するものと、革新的なシャンパーニュを造るために新しい手法を試した挑戦的な作品。
伝統と革新、それぞれの魅力を楽しむ事ができるのが、他のメゾンにはない魅力と言えます。

ダンジャン家の現当主ジャン=バティストは30代を迎えた直後、若くして3代目当主に就任。
メゾンの顔として世界各地を飛び回りつつ、積極的に生産にも関わります。

また、現醸造責任者のマチューも、ブルゴーニュ地方での研鑽を終えてまもなく、20代後半で就任。
世代交代が非常に若いのも、このポール・ダンジャンの特徴です。
経験豊富なベテランたちが、引退後も引き続き暖かく見守りつつ積極的にサポートに回るため、若い世代は失敗を恐れずチャレンジすることができます。

結果メゾン全体が新しいことに果敢に挑戦していく、という雰囲気が醸成されています。

伝統的なキュヴェ
伝統製法を代々大切に受け継ぎながら、高い品質を誇るシャンパーニュ作りを続けているポール・ダンジャンの代表的なシリーズ。フラッグシップとなるカルト・ノワールは英国王室からも愛される逸品です。
総じてエレガント、バランスが取れた味わいは、華やかなパーティシーンはもちろん、普段のお食事にも違和感なく溶け込みます。全てテット・ド・キュヴェと呼ばれる一番搾りのマストから作られており、ピュアな果実味とエレガンスが感じられる、落ち着いたスタイルに仕上がっています。
神の雫掲載、高いコストパフォーマンスで人気を集める1本
ワイン漫画『神の雫』にも掲載された、人気のシャンパーニュ。 ピノ・ノワールとシャルドネを主体にクラシカルなシャンパーニュとしての魅力を表現。30か月以上の瓶内熟成を行い、複雑で奥行きのある味わいを作り出します。
三代目当主の名を冠した自信作ブラン・ド・ノワール
現当主、ジャン=バティスト・ダンジャン氏の名前を冠したキュヴェ。レストランで料理と合わせてサーヴされる事を考えて作られた1本です。ピノ・ノワール100%のブラン・ド・ノワールは、適度なボリュームがあり、魚介料理、肉料理ともによく合います。前菜からメインまでシャンパーニュ1本で通すこともできる、万能使いのシャンパーニュです。
フィネス(繊細さ)と芳醇なコクのある味わいを両立するスタンダードシャンパーニュ
フィネス(繊細さ)と、芳醇なコクのある味わいの両立を目指したキュヴェ。3品種をアッサンブラージュすることで、単一品種では表現できないバランスを目指して作られたスタンダードシャンパーニュです。 食前酒として、華やかな雰囲気を演出してくれることはもちろん、前菜や魚介料理とよく合います。
英国王室へ提供、パリのマキシム、アメリカン航空のファーストクラス採用…名実ともにフラッグシップとなる1本。
セル・シュール・ウルスのピノ・ノワールの魅力は、華やかな果実味とリッチな味わい、しっかりしたボディです。 しかし、これをそのままシャンパーニュに仕込んでしまうと、重要なフィネス、エレガンスと両立させることが難しくなります。 ポール・ダンジャンではピノノワールのもつシャープな酸、華やかな果実味を活かしますが、一方で食事と合わせた際に主張しすぎないようにコントロールします。
シャブリと同条件の土壌が生み出すシャルドネ100%のブラン・ド・ブラン
セル・シュール・ウルスはシャブリと同様太古の石灰岩に由来するキンメリジャン質の土壌を持ち、シャルドネに適しています。北部のコート・デ・ブランに比べ果実味があり、リッチな味わいが表現されるのも特徴です。収穫時には酸が失われないよう、完熟より心持ち早め、ちょうど良いタイミングを見計らい朝早くから収穫します。
古典的、伝統的な製法で造る、繊細な味わいと美しい色を表現したロゼ・シャンパーニュ
キンメリジャン質の土壌から生まれる、繊細でシャープな酸、豊富なミネラルを持つベースの白ワインに、華やかな果実味を持つピノノワールの赤ワインをアッサンブラージュして作り上げる伝統的なスタイルのロゼ・シャンパーニュ。「ウィユ・ペルドリ」、山鶉の目の色を表現する、淡く美しい色合いです。
樹齢30年以上のシャルドネを使い、8か月間フレンチオーク樽熟成させて作る、珍しいミレジメのブラン・ド・ブラン
良年に限って造られる、記念碑的な作品。 シャルドネ種だけを使い、ベースワインを造りますが、フレンチオーク樽での熟成を経る事で、まるでブルゴーニュの上質な白ワインが繊細な泡を含んだかのような、ゴージャスな味わいを表現します。樽の選定にもこだわり、ブルゴーニュの伝統的な小樽「ピエス」の古樽のみを取り寄せて作る事で、シャンパーニュらしい繊細さも失いません。
わずかな葡萄を使い造られる、工業製品でなく職人によるアルティザン(工芸品)としてのシャンパーニュ
この作品は、 最良の年にのみ、 最良の畑に育つ、最良の葡萄を使い、限りない愛情と時間をかけて造られる。
革新的なキュヴェ
ポール・ダンジャンの若い世代が送り出す、挑戦的な新しい味わいのシャンパーニュ。
まだまだ多くは生産できない特別キュヴェですが、味わいは本当に独創的なものばかりです。
これまでのシャンパーニュと異なるまったく新しいシャンパーニュの世界をぜひお試しください。
作り手が少ない古代品種「ピノ・ブラン」100%の珍しいブラン・ド・ブラン
村の旧名、サン・シールを冠するこのキュヴェは、年間わずか10樽しか生産できない稀少品。シャンパーニュにしてはややグラマーでリッチなスタイルに仕上がる傾向があるため、収穫を早めることでエレガントな味わいを表現しました。樹齢50年以上の畑から異色のブラン・ド・ブランは、シャルドネ種のもの以上に魚介料理と素晴らしい相性を見せます。
シェリー酒造りに使われる「ソレラシステム」を用いて、セル・シュール・ウルスのテロワールを表現する1本
樹齢50年以上のピノ・ノワール種のみて作る2010年からのソレラシステムによるリザーヴワインを使用。毎年一定のリザーヴワインを代々継ぎ足してゆくことで、各生産年が持つ差異が薄まり、否応なしにテロワールが表現されます。シェリーよりもアルコール度が低いシャンパーニュのベースワインは、管理する上でも非常に高度な技術が要求されます。
シェリー酒造りに使われる「ソレラシステム」を用いて、セル・シュール・ウルスのテロワールを表現する1本
このシャンパーニュを生み出すためには、収穫時に腐敗果や未成熟果などの混入を限りなくゼロに近づける必要があります。また醸造の過程でも参加を防ぐため、通常以上に繊細で、厳密な作業が必要となります。まさにポール・ダンジャンの醸造技術の粋を集めた作品であり、畑から生まれたブドウと酵母のみで造る、ピュアなシャンパーニュです。
ノン・ドゼのピノ・ノワール100%ブラン・ド・ノワールを10年という超長期熟成で仕上げた1本。
ドサージュゼロ、つまり、味わい調整のリキュール添加をしていない、極辛口のシャンパーニュ。この極辛口を10年以上熟成させたキュヴェです。超長期熟成により、辛口の中に独特の甘みや香りが生まれます。酸は角が取れ、厚いボディの中にも軽やかなエレガンスが凝縮し、芯のある味わいに。1つのシャンパーニュに並外れた時間と手間をかけた、驚くべき一本です。
ピノ・ノワール種100%、セニエ製法で作る濃い色合いのロゼ・シャンパーニュ。
ブルゴーニュでの修行からピノノワールの扱いに長けた醸造責任者、マチュ−により、良い意味でシャンパーニュ離れした1本。セニエ(血抜き)と呼ばれる、ロゼシャンパーニュ作りの高等技術で造られます。香り、味わい、ボリュームともに他のロゼシャンパーニュとは異なり、果実味やタンニンといった要素がグラス一杯に溢れかえります。

ポール・ダンジャンのシャンパーニュ造り

畑(テロワール)

メゾン・ポール・ダンジャンが居を構えるのは、シャンパーニュでも南寄り、コート・デ・バール地区の「セル・シュール・ウルス」と呼ばれる町です。交通の要所となるランス周辺から離れていたこともあり、大手メゾンによる自社畑拡張の時流の中、この地はその影響を大きく受けることはありませんでした。しかし、北部の大手メゾンへのブドウ供給のみを行う、或いは完全に下請け製造だけを行う、といった作り手も多く存在します。
この村の知名度こそまだまだ高くはありませんが、そのテロワールの優位性は多くの研究者から度々指摘されてきました。ブルゴーニュ地方のシャブリに近く、南寄りの地域であるため、北部のシャンパーニュに対し、よりボリューム感を持ったスタイルに仕上がります。土壌の下層には、太古の海から形成された石灰質土壌(シャブリと同様のキンメリジャン質)と、「マール」と呼ばれる白泥質土壌があります。
とりわけピノ・ノワールの品質は非常に優れており、北部のマルヌ県のものに比べ、果実味が豊かで香も華やかです。そのため、ランスやエペルネの大手メゾンが、こぞってこの地域のピノ・ノワールを買い付けにやってきます。

栽培方法

ドメーヌでは、リュット・レゾネの一種である「同化農法(環境に合わせて各種の対処を行う農法)」こそがビオロジックよりも適していると考え、これを採用しています。この農法では、人工合成された化学薬品は使用しません。病気が蔓延する兆候が表れたときなど、必要に応じて、自然由来の薬剤を、最低限の量だけ使用することができます。しかし、実際に薬剤を使うことはほとんどありません。(事実、もう10年以上薬剤は使われていません。)
除草の時も薬剤は使いません。土の鋤き返しという農作業を行うので、薬を使うより当然重労働です。しかし、鋤起こした土と雑草が攪拌されることで、ブドウの根に水分とミネラル分を吸収させることができます。同時に表土のすぐ下を横に伸びる根を断ち切ることで、ブドウの木は土中深くまで根を伸ばすようになります。地中何メートルと深く伸びる根は、シャンパーニュ地方特有の複雑な地層に分け入ります。そして、様々な層からミネラル分などを吸収し、ワインに複雑さをもたらすのです。
また、干魃が起こった際には、地中深くに伸びた根が、地下に保たれた水分を吸収する事でその影響を小さくすることが可能となっています。栽培方法の研究には余念がないので、ジャンルにこだわらず、良いものは取り入れる、チャレンジ精神が旺盛なのもこのメゾンの特徴です。ワイン造りでなくとも、農業、有機栽培にかかわる学会や勉強会には積極的に参加し、常に良い環境づくりを研究しています。
例えば、三代目当主の世代になって改善された事の一つに、畑にまく肥料の変更が挙げられます。今ポール・ダンジャンで使用しているのは、普通のブドウ栽培家が使う肥料でなく、海藻を使った手作りの自然素材の肥料です。ある海藻の成分が樹木の抵抗力を上げる、という研究結果を知り、早速自社畑に導入しました。
一般的に病虫害は弱い樹から始まり、広がってゆく、と言われますが、ポール・ダンジャンの畑の木々は、幸いにも抵抗力が上がったからか、病虫害の数は激減し、畑が非常に健全に保たれています。結果、糖度が高く凝縮した良質のブドウが収穫できています。

ブドウ栽培比率

ピノ・ノワール70%、シャルドネ27%、ピノ・ムニエ2%、ピノ・ブラン1%
ピノ・ノワールを主体に、シャンパーニュで用いられる複数の品種をブレンドしています。黒ブドウのピノノワールはヴォリューム感や骨格を、シャルドネはシャープな味わいとエレガンス、ピノ・ムニエはフルーティな果実味をそれぞれ表現します。
ピノ ・ブランは、祖父の代に植えられた高樹齢の区画です。「古代品種」と呼ばれ、現代では作り手は僅かですが、ポール・ダンジャンではこの品種を100%使用した珍しいシャンパーニュも手掛けています。

受け継がれる哲学

ポール・ダンジャンのシャンパーニュにおいて、品質に関する明確な指針が4つ定められています。
適度な熟成感と繊細な泡立ち
シャンパーニュの法律では最低15カ月の熟成で出荷が認められているが、 味わいのバランスを取るため、少なくとも熟成期間が30カ月になるまで販売を行わない(一部例外のキュヴェもあります)。

ピュアでエレガントな味わい
ブドウ果汁はテット・ド・キュヴェ(ブドウを絞った際、最初にとれる果汁。高級レンジやプレステージのものは、このキュヴェのみで作ることが多い。)のみを使用。

伝統的なシャンパーニュスタイル
ドメーヌのスタイルを守るため、ミレジメを除き、最低2年分のワインをアッサンブラージュする。

バランスの良い味わい
重すぎず、フレッシュで熟成しすぎていないシャンパーニュ を生み出すこと。

ポール・ダンジャン訪問

シャンパーニュ地方南部のコート・ド・バールにあるポール・ダンジャンは、セル・シュール・ウルス村にあります。
ローヌ地方から車で5時間以上かけて、夕方にコート・ド・バールのトロワに到着。
生憎の雨でしたが、ジャン・バティストが初日の夜はトロワの町を案内してくれました。

「オーガナイズは自分にまかせてくれ!」と言われた通り、ジャン・バティストに全て任せることに。
二日目は朝からワイナリー見学から始まり、その後村のお祭りに参加してきました。

ワイナリーの敷地内には醸造所ほか、新しく建てられたボトリングと出荷用の工場や住居などがあります。
昔はダンジャン一家の全員が敷地内に住んでいたため、建物が複数あるようです。 オフィスにはダンジャン一家の70年代後半の写真がかざあってあります。

今も家族経営のダンジャンは、場所ごとに担当が決まっています。
例えばこちらの旧式のプレス機の担当はジャン・バティストです。

収穫期になると、一度に4000kgのブドウの圧搾が4、5人がかりで行われます。
少し圧搾をしたら一度止め、下の方のブドウを上に持ってくるように混ぜることで、均等に圧搾します。
熊手でかき混ぜられますが、この作業は1分30秒くらいで完了させなければならないそうです。
絞られたブドウのジュースは重力で下のタンク室に流れこみます。
この機械は一回の圧搾ごとに洗浄され、常に綺麗な状態を保つようにされています。
木製の容器にはそれぞれに番号が振ってあり、それを合わせないと綺麗な円形にならないようになっているそうです。
圧搾機は近代的なタイプの物も2基設備されており、こちらは二人がかりで8000kgを絞る事が出来ます。

最初のタンク室には年代物のコンクリートとステンレスタンクがあります。
ステンレスタンクが多く使用される昨今ですが、コンクリートはステンレスと違い電気を通さないため、見直されているそうです。
このワイナリーは少しずつ増築されてきたので、ここよりも奥には近代的な大きなステンレスタンクが設置されています。

シャンパンを作る時はルミアージュと言う作業が行われます。ボトルを少しずつ回しながら、瓶は垂直になるような角度で立てられていきます。こうすることで澱引きがしやすいよう、少しずつ澱が瓶口に集められて行きいます。
ポール・ダンジャンでは今は大きいボトル以外はその作業は機械化されています。大きいパレットにまとめて入れられて、少しずつ動かされていきます。
ジャン・バティストが小さいころは、学校に行く前に時間をかけて手で回していたそうです。

熟成する樽はブルゴーニュ製の樽で、中はゆっくりあぶられています。
色んな年代のワインがあります。

貯蔵庫は彼の従兄が管理しています。
ワインは整然と積まれていて、列ごとに承認番号が刻まれています。
何か問題があれば、この番号で追跡されます。

ブドウ畑にも連れて行ってもらいました。
木に苔が生していますが、北側にしか生さないそうです。
写真左端のブドウの木の上にある長い管はスプリンクラーになっていて、霜被害が起こりそうなときにはウルス川の水がまかれます。
この川の水は冬でも10度以上あるので、霜の害が防げます。

この日のメインは何と言っても、村人全員参加(?)の山歩き。
村人の手作り感あふれるこの催し物は、年に一回行われます。
小高い丘に、運動会で使うようなテントが点在して建てられ、そこでシャンパンと料理がふるまわれます。
前菜からチーズまでのスタンドがあり、のんで食べて、その後歩きまわるというイベントです。
スタンドとスタンドは歩いて30分くらいかかり、ブドウ畑の合間を歩いて見学できます。
この日は生憎の天気でしたが、素晴らしい景色と自然の澄んだ空気を満喫できました。
勿論いろいろなシャンパンも楽しみました!
村の皆は全員がお互いを知っているというかんじで、ジャン・バティストもすれ違う人ほぼ全員に挨拶をしていました。
なかなか地元の行事に参加することなどないので、とてもいい経験になりました。

今回は地元に密着したバーに行ったり行事に参加できて、本当のセル・シュール・ウルスを体験できたと思います。
素晴らしい経験をさせてくれたジャン・バティストに感謝の気持ちでいっぱいです。


シャンパーニュのメゾン「ポール・ダンジャン」の醸造所を訪問しました。
今回は、運営全般を統括しているダンジャン氏に、今でも使用している伝統的な圧搾機やメゾンのこれまでの歴史などをご説明いただきました。


まずはじめに伝統的な圧搾機を見せていただきました。4000kg入るという現在も使用できるものです。 今でも手動で調整しているそうです。ちなみに収穫期は、ダンジャン氏がここで圧搾の担当を行っているそうです。

こちらでは基本的にはすべてのラインで、いとこや親せきなどの家族の誰かが担当しているそうです。
メゾンとは言っても、ほとんど手造りのような作業を行っています。
畑やブドウ栽培について、その後のシャンパーニュになるまでの醸造や検査、そして販売なども含めてこのダンジャン氏の親類関係で行われているそうです。

さらにこちらの訪問記の下にある動画でもありますが、今回はダンジャン氏にデゴルジュマンを見せていただきました。実際に目の前で見るのは初めてでしたが、やはりかなり危険な作業ですね。
※デゴルジュマンとは、シャンパーニュ製法で必ず行う瓶内二次発酵によって生じた澱を取り除く作業のこと。
デゴルジュマン・ア・ラ・ヴォレといって、これを手作業でやるところを見せていただきました。
まずは、瓶内二次発酵後のボトルの瓶口を凍結させ溜まった澱を固めて蓋を外し、中の発泡したシャンパンの圧力により澱を外へ押し出します。ここの押し出すというのがどちらかというと「飛び出す」に近いので、とても危ないため写真のような中でその作業を行います。 昔はこれを1時間当たり500本くらいのスピードで作業をしていたそうです。

現在ポール・ダンジャンの畑では、自然に配慮し除草剤は一切使用せず常に土造りを意識したリュット・レゾネを行いこの考え方は父や祖父の代から家族の理念として行われているそうです。 シャンパーニュ地方のコート・デ・バール地区にある畑は55haほど所有し、70%をピノ・ノワール、25%シャルドネ、残りの5%はピノ・ムニエととても希少なピノ・ブランを栽培しています。

今回訪れた、ポール・ダンジャンの醸造所などを動画にまとめましたのでご覧ください。
一部聞き取りにくい個所がありますので、翻訳テキストをお読みいただければと思います。
聞き手:ワインショップソムリエ ネットショップ店長 田中 仕入れ担当セバスチャン

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