シャトー・ランシュ・ムーサの特徴と通販での選び方
フランスの銘醸産地ポイヤックで、最大級の敷地を有する「シャトー・ランシュ・ムーサ」。
最近評価が向上してきたことが話題であり、大注目のシャトー(ブドウ栽培、醸造、瓶詰までを行う生産者のこと)です。
こちらでは、そんなシャトー・ランシュ・ムーサの特徴をご紹介いたします。
約1200haの広さを誇る村名に由来するAOCで、数多くの格付けシャトーが軒を連ねるボルドーファン憧れの銘醸産地です。
※AOC(原産地統制呼称制度)=フランスのワイン産地それぞれの個性、品質を守るために定められた規律のこと。
ポイヤックはジロンド川に面しており、砂利や石灰を含んだ砂が多い土壌です。
水はけが良くて温度を逃がさない構造のため、ブドウ栽培に適した環境になっています。
上質なブドウから造られるポイヤックのワインは、メドックの中でも特に濃く、タンニンが強めの長期熟成向きであることが特徴です。
そんなフランスを代表する産地ポイヤックで近年評価が向上していると話題になっているのが、「シャトー・ランシュ・ムーサ」。
シャトー・ランシュ・ムーサの歴史の始まりは古く、18世紀までさかのぼります。
メドック地区で1855年に行われたワインの格付けにおいて、当時5級に格付けされた実績を持つ老舗のシャトーです。
シャトー名の由来は、当時の所有者であるピエール・デュルイヤールの娘エリザベスが結婚し、結婚相手であるトーマス・ランシュ氏が畑を継承したことに因んでいます。
シャトー・ランシュ・ムーサは約200haというポイヤックでも最大級の広さを誇る敷地を有しており、ポイヤックの西側の森の中に位置しています。全ての土地を使用しているわけではなく、ブドウ栽培に最適な土地を選んで使用していますが、それでも75haはあるため相当な広さです。
当初は同じく第5級格付けの「シャトー・ランシュ・バージュ」と同じ畑でしたが、19世紀に入ってから別々の畑に分割されたため、2つのシャトーは今でも隣同士にあります。
実はシャトー・ランシュ・ムーサはずっと順調だったわけではなく、低迷期もありました。
1855年のメドック格付けで第5級を得た時点では高品質のワインが造られていたのですが、その後次第に品質は低下。
20世紀初頭にはほぼ見捨てられたような状態で、畑も手付かずのまま放置されてしまいます。
その低迷状況から復活を遂げるきっかけと言えるのは、1919年に15世紀から続く名門カステジャ家が新たなオーナーになったことでしょう。
カステジャ家は有名ネゴシアンのボリー・マヌー社も運営しており、「シャトー・バタイエ」や「シャトー・トロットヴィエイユ」などの有名シャトーを複数所有している、ボルドーの名家です。
カステジャ家は品質の向上に力を入れ、醸造方法を見直して畑の改良を行いました。
最新の技術を導入するなど設備を整えた結果、1994年頃にはシャトー・ランシュ・バージュは素晴らしいワインを生みだすシャトーへと成長し、その品質が世界で認められるようになったのです。
カステジャ家はワイン造りを根本的に変えるために、様々なことを行っていました。
その一つが、放置されていた荒れ放題の畑を手入れしたことです。
入念に手入れを行った結果、ブドウを栽培するための最適な環境を作ることに成功します。
また、ブドウの栽培で重要な除葉、房の間引きを徹底して行い、機械で行っていた収穫を手摘みに変更しました。
収穫したブドウは手作業で丁寧に選果し、厳しい基準をクリアしたブドウのみがワイン造りに使用されています。
ステンレスタンクを使用し、新樽比率は60%。3週間の発酵と14か月~18か月の樽熟成を経て、年間22万本が生産されているとの事です。
そんなシャトー・ランシュ・ムーサのワインは、柔らかくおとなしい印象と優雅さを兼ね備えており、しなやかでしっかりとしたテクスチャーが特徴的でしょう。
隣接するシャトー・ランシュ・バージュと比較すると、”男性と女性のような違い”があると例えられています。
こちらでは、それぞれの品種の特徴をご説明いたします。
カベルネ・ソーヴィニヨン
カベルネ・ソーヴィニヨンは栽培面積世界1位を誇る、最も人気が高い黒ブドウ品種です。人気が高い故に冷涼な土地から温暖な土地に至るまで、様々なワイン主要産地で栽培されています。
粒は小さめですが、大きめの種と分厚い果皮が特徴です。
食べられる部分の果肉はほとんどなく、その分色合いの濃い強めのタンニンを持つワインに仕上がります。
耐寒性や病害に対する抵抗性が優れており、どの産地で栽培しても良質なブドウが育つポテンシャルの高さが魅力と言えるでしょう。
カベルネ・ソーヴィニヨンの原産地は、フランスのボルドー地方です。
カベルネ・ソーヴィニヨンを使用して造られるワインは、カシスなどの黒い小さな果実味と、ミントのようなすっきりとした植物系のフレーバーを感じます。
また、酸とタンニンが強めで力強い構造を持ちますが、凝縮感とエレガントさを兼ね備えた味わいが特徴です。
特にボルドー左岸、シャトー・ランシュ・ムーサのあるメドック地区では、長期熟成向きの引き締まった味わいのワインが造られています。
ボルドー地方ではカベルネ・ソーヴィニヨンの生育が良く骨格が強すぎるため、単品でワインが造られることは殆どなく、メルローなどとブレンドされることが多いです。
シャトー・ランシュ・ムーサでもカベルネ・ソーヴィニヨンを高比率で使用することで、しっかりとした骨格と引き締まった筋肉質な味わいを醸しています。
主体として70%以上の比率で使用されることが多く、ヴィンテージによっては90%以上の比率でブレンドされる事もあります。
メルロー
メルローはカベルネ・ソーヴィニヨンに次ぐ人気を誇り、世界で広く栽培されているブドウ品種です。病害に強い・多産などの長所があり、どの産地でも良質なブドウが育つことが人気の理由でしょう。
大きめの房と中くらいの粒を持ち、早熟タイプで糖が上がりやすいことから、果実味が豊富なワインに仕上がります。
また、プラムのような濃い色味の果実の香りと甘めのスパイスを感じられ、柔らかく穏やかなタンニンとまろやかな味わいが特徴です。
凝縮された果実味が中心で親しみやすい印象があるため、赤ワイン特有の渋みが苦手な方でも飲みやすく感じるでしょう。
原産地であるフランス・ボルドー地方では最も広く栽培されている品種ですが、環境への適応力が高いことから世界各地で上質なワインの原料として使用されています。
シャトー・ランシュ・ムーサの属するメドック地区では、基本的にメルロー単品でワインが作られることはありません。
カベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされ、力強い味わいをメルローの柔らかさで包み込む役割を担っています。
シャトー・ランシュ・ムーサでもメルローが20%~30%の割合でブレンドされており、ヴィンテージによって比率は異なりますが、ソフトで優雅な印象を与えているのです。
また、楽しみ方も併せてご紹介しますので、購入されたお客様は是非お試しになってみてください。
シャトー・ランシュ・ムーサの選び方
まず、気になるのがヴィンテージによる違いではないでしょうか。同じブドウ品種が使用されていてもヴィンテージごとに異なった味わいに仕上がりますので、お好みの味わいに近いものを選ぶと良いでしょう。
前述したように、シャトー・ランシュ・ムーサには品質が低迷していた時期がありますので、その点だけは注意が必要です。
名門カステジャ家が所有するようになった1994年以降は品質が改善し、評価の高いワインを生みだすようになりました。
1994年から2000年代にかけてはワイン評価で権威のあるパーカー・ポイントにおいて80点代を記録するワインも多くなり、2010年以降は90点以上の高得点をつけるヴィンテージも出てきています。
それでは、いくつかのヴィンテージについて見ていきましょう。
まず2011年ですが、外観は深みのある濃いルビー色をしており、ベリーなどの果実の甘い香りと、たばこの香りを少し感じます。
また、すっきりとした酸味があり、適度なタンニンが特徴的です。
そして2015年ですが、アッサンブラ―ジュ(ブレンドの比率のこと)はカベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロー30%。
野いちごや花束を連想させる香りが特徴で、しっかりめの酸味と柔軟なタンニンを持っています。
長い余韻の後に、スパイスが混じったフィニッシュを迎えられます。
いずれにしても早飲みできるワインになっていますので、寝かせて熟成させる必要はなく、購入してすぐに開栓して楽しめるのが嬉しいところです。
そのほか、ワインショップソムリエでは厳選したヴィンテージのシャトー・ランシュ・ムーサだけを取り扱っていますので、安心してお選びいただけます。
特に近年のシャトー・ランシュ・ムーサはワイン愛好家やワイン雑誌・評論会などで高い評価を受けつつありますので、ボルドーワイン好きの方にはおすすめできるシャトーです。
シャトー・ランシュ・ムーサの楽しみ方
シャトー・ランシュ・ムーサはカベルネ・ソーヴィニヨンが主体となっているため、しっかりとした骨格と複雑な香りが特徴的です。豊かな果実味が魅力の一つですが、他のボルドーワインに比べて長期間保管してしまうと果実味が失われてしまう傾向にあります。
そのため、あまり長く寝かせすぎず(4~10年が理想)、早めにお楽しみいただくことをおすすめします。
料理と一緒に楽しむ場合は、牛肉と合わせると良いでしょう。
きのこ類との相性も良いので、牛肉ときのこを煮込んだ料理や、味がしっかりとしたビーフシチューなどがおすすめです。
また、シャトー・ランシュ・ムーサは豊かな果実味が特徴なので、ウォッシュタイプのチーズとのマリアージュが絶妙です。
是非エポワスやモンドールなどのチーズをおつまみにしてお楽しみください。
普段のお食事に合わせる以外に、ホームパーティーなどの特別な場面にもお使いいただけます。
近年は品質が向上していることから評価も高まっていますので、家族や友人などへの気軽な贈り物としてチョイスしていただくのも良いでしょう。
また、ボルドー好きの方で、他のボルドーワインと飲み比べて楽しまれる方も多いです。
例えば、かつては同じ畑であったシャトー・ランシュ・バージュと飲み比べてみるのはいかがでしょうか。
シャトー・ランシュ・バージュは、しっかりとした構造にまろやかさを感じられるワインです。
凝縮された味わいの中にエレガントさがあり、ミネラルが非常に豊かでスパイシーな香りが特徴で、男性的な印象を持ちます。
対してシャトー・ランシュ・ムーサは女性的で、しなやかなテクスチャーと複雑な香りを持ちつつも、柔らかく優雅な印象があるまろやかな味わいに仕上がっています。
ボルドーワインを飲み慣れた方はもちろん、初めてお試しいただく方にもおすすめです。
また、シャトー・ランシュ・ムーサは格付けシャトーでありながら、比較的安価で購入できることも魅力の一つでしょう。
優秀な格付けボルドーワインを5000円前後でお楽しみいただけますので、ボルドーワインを初めて購入される方にもおすすめです。
フランスの銘醸産地ポイヤックで、いま評価が上がり注目の集まっている「シャトー・ランシュ・ムーサ」。
見事な復活を遂げた老舗シャトーの確かな品質のワインを、是非この機会に楽しまれてみてはいかがでしょうか。
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