シャトー・ラトゥール・マルティヤック
CHATEAU LATOUR MARTILLAC
シャトー・ラトゥール・マルティヤックは、シャトー・オーブリオンがあることで有名なワインの銘醸地ボルドー地方グラーヴ地区にあります。
小石・砂利という意味のグラーヴの名の通り、砂利質の土壌では高品質なカベルネ・ソーヴィニヨンが栽培されており、中でもこのシャトーのあるマルティヤックの丘はパッチワーク状の砂利質土壌になっており、メルローや白ワイン用品種のソーヴィニヨン・ブランとセミヨンにとっても最適のテロワールになっています。
1953年のグラーヴ地区の格付けでは、16のシャトーが選ばれ、赤ワイン、白ワインともに認定されたのはわずか6シャトーのみ、シャトー・ラトゥール・マルティヤックはそのうちの1つのシャトーとして認定を受けました。
シャトー・ラトゥール・マルティヤックの中庭の中心には、12世紀にモンテスキューの祖先アキテーヌ公爵のエレノア夫人によって建てられた砦の一部の塔が残っており、塔の上部にはエレノアの息子であるライオンハートの異名を持つイングランドの王リチャード一世の紋章のライオンが飾られています。
このシンボルである塔がシャトーの名前の由来となり、かつては、シャトー・ラトゥールと呼ばれていましたが、メドック1級シャトーのシャトー・ラトゥールと混同されてしまうため、村名であるマルティヤックの名前をつけて、シャトー・ラトゥール・マルティヤックという名称になりました。
家族の伝統を守り躍進を続ける
シャトー・ラトゥール・マルティヤックは、1857年に当時ボルドーの著名なネゴシアンであったエドワード・クレスマンが、素晴らしい砂利質のテロワールで育つこのシャトーの白ワインの品質に魅了され、独占販売権を獲得しました。
それから毎年買い付けを行ってきましたが、1930年にエドワードの長男アルフレッド・クレスマンがシャトーの建物を購入し所有者となりました。
シャトー・ラトゥール・マルティヤックのワインが広く注目されるきっかけとなったのは、1936年12月、イギリス国王ジョージ6世の戴冠式を祝うためのワインとして選ばれたことでした。
これに伴いラベルも金色と砂色のストライプにメスライオンと二つ星、剣の紋章をあしらった新しいデザインに変更し、現在も引き継がれています。
1940年からは、アルフレッドの息子のジャンが経営を引き継ぎ、ジャンの2人の息子トリスタンとロイックと共に、1980年からソーヴィニヨン・ブランとセミヨンの栽培面積を増やし徐々に畑を広げていきました。
経営をトリスタンが担当し、技術面をロイックが担当する協力体制で、ドゥニ・デュブルデュー教授やミッシェル・ロラン氏などのボルドーで最高のワインコンサルタントの助けを借りて少量生産で質の高いワイン造りを行っています。