シャトー・グリュオ・ラローズの特徴と通販での選び方
フランス屈指の銘醸地サン・ジュリアンを代表する偉大な生産者「シャトー・グリュオ・ラローズ」。
”王のワインと”称される力強いスタイルのワインを生みだし、世界中の愛好家を魅了しています。
こちらではそんなシャトー・グリュオ・ラローズの特徴をご紹介いたします。
1936年にAOC(原産地統制呼称)にも認定され、力強く男性的な印象のワインが多く産出されています。
ボルドー地方の左岸オー・メドック地区に属するサン・ジュリアンですが、その位置はマルゴー村とポイヤック村に挟まれており、ワイン造りに絶好の環境が整ったエリアです。
そのためサン・ジュリアンのワインは両者の中間的なスタイルと表現されています。
そして「シャトー・グリュオ・ラローズ」はサン・ジュリアンらしさが忠実に表れているシャトーと言われており、力強さとフィネスを兼ね備えた味わいが特徴です。
その力強さから「サン・ジュリアンで最も重々しいワイン」とも評されます。
それでは、シャトー・グリュオ・ラローズの歴史を振り返ってきましょう。
1725年にカトリックの司祭グリュオ氏がサン・ジュリアン村の畑70haを入手し、ブドウ栽培を開始したことがこのシャトーの歴史の始まりです。
もともとはグリュオ家が所有していたことから「グリュオ」と呼ばれていましたが、創設者である司祭グリュオ氏の名前も由来とされています。
1781年にグリュオ氏が亡くなり、後継者となったのは彼の甥ジョセフ・セバスチャン・ド・ラローズ氏です。
彼が引き継いでから現在のシャトー・グリュオ・ラローズに名を改め、70haだったブドウ畑を80haまで拡大させました。
エチケットに記される「LE VIN DES ROIS LE ROI DES VINS(王のワイン、ワインの王)」は、ラローズ氏が考案したとされるキャッチフレーズです。
19世紀初頭には相続問題が起こり、「グリュオ・ラローズ・ベトマン」と「グリュオ・ラローズ・サルジェ」の2つのシャトーに分割されることになります。
相続上の理由から分割されることになりましたが、後継者たちが厳格に品質を守ってきたこともあり、いずれもメドック格付けで2級に格付けされました。
ちなみにメドック格付けとは1855年にナポレオン三世の命により制定されたメドック地区のワインにおけるランク付けのことで、合計61の生産者が1級~5級の5段階にランク付けされています。
格付け当時、2級ではあるものの1級に次いで取引価格が高かったという話は非常に有名です。
1917年からはネゴシアン(卸売業者)で有名なコルディエ家が所有することになり、1935年にようやく2つに分かれたシャトーの再統合が実現します。
その後は金融グループのスエズ社に所有権が移り、この時に大規模な設備投資が行われ、シャトーの設備が近代化されました。
現在はジャン・メルロー氏がオーナーを務め、安定した品質のワインを造り続けています。
ジャン・メルロー氏はさらなる品質向上を目指し、ブドウの栽培を根本から見直した人物です。なんと、所有する66の畑の全ての区画をデータ化。手入れをしやすくするだけではなく、収穫量の調整やブドウの管理を効率的に行えるようになりました。
また、栽培に関してはビオロジック(有機栽培)を採用し、ブドウの収穫は全て手摘み。
さらに高額な排水システムを導入するなど、品質向上のために積極的にシャトーの改革を続けています。
このように、グリュオ・ラローズはジャン・メルロー氏の「サン・ジュリアンのエレガンスを表現したい」という意思によって、非常に高い品質へと導かれました。
ワイン評論家ロバート・パーカー氏も「最近の醸造方針が続くことを期待している。品質は一貫して高い」と絶賛しています。
植えられているのは「カベルネ・ソーヴィニヨン」「メルロー」「カベルネ・フラン」「プティ・ヴェルド」「マルベック」の5種類。平均樹齢は46年です。
それでは、それぞれの品種の特徴を見ていきましょう。
カベルネ・ソーヴィニヨン
「カベルネ・ソーヴィニヨン」は世界で最もポピュラーな黒ブドウ品種です。栽培面積世界第1位を誇り、フランス、オーストラリア、イタリアなどを含む多くの国で栽培されています。
サン・ジュリアン村が位置するボルドー地方が原産地で、ボルドーワインの主要品種です。
分厚い果皮と大きな種を持つことから食せる果肉はほとんどなく、色調の濃いタンニンが豊富な力強い味わいに仕上がります。
そして、カシスといった小さい果実や、ミントを連想させるすっきりとしたアロマが特徴です。
しっかりとした酸味や凝縮感もあり、力強さと上品さを併せ持つワインが生まれます。
カベルネ・ソーヴィニヨンは耐寒性に優れ、病害にも強く、様々な気候の土地で栽培が可能です。
中でもサン・ジュリアンの砂利質の土壌は栽培に適した環境で、水はけが良いことから成熟を促すだけではなく、ミネラルが豊富なブドウに育ちます。
原産地のボルドー地方では、カベルネ・ソーヴィニヨンだけを使用してワインが造られることはほとんどありません。
メルローやカベルネ・フランなど柔らかい印象を持つ品種とブレンドし、味わいのバランスを取ることが多いです。
実際にシャトー・グリュオ・ラローズではカベルネ・ソーヴィニヨンが主体となり、メルローなどの品種とブレンドされ、見事な調和のワインが生まれています。
ヴィンテージによって多少違いますが、アッサンブラ―ジュ(ブレンド)は平均60%以上で、グリュオ・ラローズのスタイルである「力強さ」をもたらしています。
メルロー
「メルロー」はカベルネ・ソーヴィニヨンに次ぐ栽培面積を誇る、人気の高い黒ブドウ品種です。世界中で栽培されているブドウですが、中でも原産地のボルドー地方が最も広く栽培しています。
メルローは早熟タイプで糖が上がりやすく、果実味が豊富な点が特徴として挙げられます。
そして、ブラックチェリーなど濃い色味の果実の香りを感じられ、タンニンと酸味は穏やか。
果実味が豊かでまろやかな味わいに仕上がるので、赤ワイン初心者の方でも飲みやすく感じるでしょう。
ボルドー地方では単一品種でワインが造られることはほぼなく、カベルネ・ソーヴィニヨンなどとブレンドし、柔らかさを与えています。
シャトー・グリュオ・ラローズではメルローは栽培比率30%で、カベルネ・ソーヴィニヨンと並ぶ主要品種です。
平均20%~30%ブレンドされ、力強い味わいの中に果実味をもたらしています。
その他の品種
上記でご紹介した品種の他にも、シャトー・グリュオ・ラローズのワインには「カベルネ・フラン」「プティ・ヴェルド」「マルベック」などが使用されています。ブレンドされる比率は数%と少なめで補助的な役割ですが、いずれも欠かせない品種です。
ご購入を検討されているお客様は、是非こちらを参考にしてお選びください。
シャトー・グリュオ・ラローズの選び方
グリュオ・ラローズは、一貫して安定した高品質のワインを生みだしているシャトーです。早い段階から素晴らしいワインを生みだすシャトーとして知られ、メドック格付けでは2級に格付けされるほどの品質を誇っています。
中でも評価が高いのは1980年以降で、「偉大なヴィンテージは1級相当の品質」とまで言われるほどです。
そのため実力を重視するのであれば1980年以降のものがおすすめします。
ヴィンテージによって価格や味わいに多少の違いはありますが、全て上質であることは間違いないでしょう。
ワインショップソムリエでは数ある中から厳選したヴィンテージを取り扱っていますので、安心してお選びいただけたらと思います。
また、セカンドラベル「サルジェ・ド・グリュオ・ラローズ」もおすすめしたい逸品です。
セカンドラベルとは基準に満たなかった2番手ワインのことですが、品質面ではファーストラベルに引けを取りません。
サルジェ・ド・グリュオ・ラローズは主に平均樹齢25年の比較的若い樹のブドウを使用し、早いうちから楽しめるスタイルとなっています。
凝縮された果実味とベリーなどのジューシーなアロマが広がり、長く続く余韻が魅力的。
カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高く、パワフルでありながら上品な味わいも特徴です。
セカンドラベルはお求めやすい価格となっていますので、高品質なボルドーワインを気軽に試してみたいという方におすすめできます。
いずれにしても、辛口で知られる評論家ロバート・パーカー氏が「上品で素朴でないスタイル」「品質は一貫して高い」と絶賛しているシャトーですので、品質の高さは間違いありません。
普段ボルドーやサン・ジュリアンのワインを飲まれない方にも是非お試しいただきたい実力派シャトーです。
シャトー・グリュオ・ラローズの楽しみ方
シャトー・グリュオ・ラローズはサン・ジュリアンで最も重々しいと言われるほど、タンニンが豊富で力強い味わいが特徴です。飲み頃は収穫後10年~35年とされており、長期熟成に耐えうるポテンシャルを備えています。
リリースされるまでに16か月から18か月の熟成を経ているため、購入直後に開栓してもお飲みいただけますが、お好みの熟成度合いになるまで寝かせておくのも良いでしょう。
他のボルドーワインと同様に、料理と合わせることでより飲みやすく、ワインの持つ良さを感じられます。
力強く上品な味わいのシャトー・グリュオ・ラローズは、特に牛肉やジビエとのマリアージュ(相性)が良好です。
他にも牛肉のトマト煮込みですとか、鴨肉のローストなどのお料理に合わせてお楽しみください。
ハードタイプのチーズとも良く合いますので、ゴーダチーズやミモレットをおつまみにお選びいただくのも良いでしょう。
また、普段のお食事に合わせる以外にも、パーティや記念日などの特別な日や華やかなシーンにもお使いいただけます。
メドック格付け第2級&ロバート・パーカー氏からも絶賛のシャトーですので、年配やお世話になった方への贈り物にも最適です。
さらには、同じボルドーワイン同士で飲み比べてみるのも面白いでしょう。
ボルドー地区左岸のシャトー・グリュオ・ラローズはカベルネ・ソーヴィニヨン主体ですが、右岸ではメルロー主体となっています。
左岸が力強く男性的なのに対して、右岸は柔らかく女性的と言われていますので、対照的なスタイルが感じられます。
”王のワイン”のフレーズに相応しい風格と、安定した品質を併せ持つ「シャトー・グリュオ・ラローズ」。
まさに銘醸地サン・ジュリアンのワインらしいと評されるパワフルかつエレガントな味わいを、是非この機会にご堪能されてみてはいかがでしょうか。
タイプで絞り込む
赤ワイン
白ワイン
泡(シャンパン)