フランス、イタリア、スペインなどの有名産地と比較すると、日本ではあまり知られていないハンガリーですが、ワイン造りが盛んな国です。
主要なワイン産地は、
・バラトン湖の北岸一帯
・トカイ・ヘジアリャ地方
・ハンガリー地方
・北トランスダヌビア地方
などがあります。
気候はブルゴーニュと同様の大陸性気候で夏と冬の寒暖差が大きく、降水量も年間700mm程度なのでワイン用ブドウの栽培に適していると言えるでしょう。
ハンガリーのトカイ地方で造られているもっとも有名な極甘口ワインが、「トカイ・アスー」です。
また、貴腐ブドウのみで造られたワインを「トカイ・エッセンシア」と呼びます。
その糖度によって階級が分かれており、中でも熟成期間が5年以上の最高峰ワイン「トカイ・アスー・エッセンシア」は、世界三大貴腐ワインの1つに数えられています。
ルイ14世が 「王のワインにして、ワインの王」 と称したことでも知られ、毎年トカイで造られる甘口ワインを楽しめるお祭りが開催されるほど人気のワインです。
味の特徴
ハンガリーは、冒頭でお伝えした通り甘口ワインを含めた白ワインの生産量が多く、赤ワインは全体の3割程度の生産量となっています。フランスの「ソーテルヌ」。ドイツの「トロッケンベーレンアウスレーゼ」。
それに並んでトカイで造られている「トカイ・アスー」が、「世界三大貴腐」ワインに選ばれています。
このトカイワインで生産される甘口ワインですが、「アスー5プットニョシュ」から「ナチュールエッセンシア」など、残糖分によって区分がわけられており、甘さや熟成年数によってそれぞれ個性の違う味わいを楽しむことができます。
ハンガリーの赤ワイン
ハンガリーの赤ワインは、全体的にライトボディのものが多く、初心者の方でも飲みやすく渋みが少ないものが多い傾向にあります。一部、「ケークフランコシュ」という土着品種から造られているボリューム感のしっかりした赤ワインもあり、近年国際的にも評価が高い辛口ワインも増加しています。
ハンガリーの白ワイン
ハンガリーの辛口白ワインは、涼しいな気候を活かした酸の多いフレッシュな味わいが特徴的です。一方、甘口ワインはハチミツやアプリコットなど、酸がしっかりと残っているフレッシュな印象の風味が特徴です。
ボルドーやロワール、ドイツで造られている甘口ワインの味わいに近いです。
甘さの強いものもありますが、甘さがそれほど強過ぎないタイプなどもあるので、お好みに合わせて選ぶことができます。
ハンガリーワインに使われているブドウ品種
ハンガリーでは、土着品種から国際品種まで幅広いブドウが栽培されています。主に使用されているブドウ品種は、黒ブドウで9種類ほど、白ブドウで22種類ほどと言われています。
その中でも、特にハンガリーワインにとって重要なブドウ品種を紹介しましょう。
フルミント
ハンガリーワインにとって欠かすことができない、代表的なブドウ品種が「フルミント」です。トカイワインの主要品種であり、主に「トカイ・アスー」に使用されています。
ハンガリーには他にも「ハールシュレヴェリュー」、「シャールガムシュコターイ」と呼ばれる土着品種がありますが、フルミントから造られる甘口ワインをバランスよく仕上げるため、これらが少しブレンドされます。
甘口ワインに使用されているイメージが強い白ブドウ品種ですが、「トカイ・フルミント・ドライ」という辛口ワインも生産されるなど、さまざまなタイプの白ワインを楽しめる品種としても知られています。
ケークフランコシュ
ハンガリーでもっとも生産されている黒ブドウ品種が、「ケークフランコシュ」という土着品種です。ハンガリー北部のワイン産地である、エゲル地区の主要品種で、雄牛の血と呼ばれている「ピカヴェール」というワインを生み出す品種として知られています。
全体的にライトで飲みやすい赤ワインを生産するハンガリーですが、長期熟成が楽しめる1本として親しまれています。
それは、ケークフランコシュから造られている赤ワインは力強さを持ちミディアムボディからフルボディの味わいになるからです。
ちなみに、ハンガリーワインは使用品種と産地名がセットでラベルに記載されていることが多く、「ピカヴェール」などブレンドされたワインはラベル裏に必ず使用品種が記載されています。
品種の特徴を押さえておくことで、ハンガリーワインが選びやすくなるでしょう。