コート・ド・ニュイのワインの特徴と通販での選び方
世界で最も偉大な赤ワインの産地と知られる「コート・ド・ニュイ」。
数多くの最高級ワインを生みだし、世界中のワイン愛好家が憧れる銘醸地です。
こちらでは、そんなコート・ド・ニュイのワインの特徴をご紹介いたします。
ブルゴーニュ地方コート・ドール県の中央から南北にかけて小高い丘の斜面が広がっており、 面積は長さ約20km、幅数百mほど。
決して広くない面積ですが、ブルゴーニュを代表する偉大なワインが数多く生みだされている産地です。
途切れることなく続くワイン畑は「グラン・クリュ街道」と呼ばれ、観光名所として多くの人から親しまれています。
フランス語で”黄金の丘陵”を意味するコート・ドール県は、南のコート・ド・ボーヌと北のコート・ド・ニュイの2つの地域に分けられます。
最高峰の白ワインの銘醸地として知られるコート・ド・ボーヌに対して、偉大な赤ワインの銘醸地として知られているのが今回ご紹介するコート・ド・ニュイです。
ちなみに、2つのエリアを合わせたコート・ドールは、2015年のユネスコの世界遺産に登録されました。
コート・ドールには「クリマ」と呼ばれる区画化された畑があり、素晴らしいワインを生みだすブルゴーニュの環境が文化遺産として認められたのです。
最高峰のワインの味わいだけではなく、美しい景観や長く続く独自のワイン造りの文化が評価されたということでしょう。
そんな世界遺産に登録されたコート・ドールの北にあたるコート・ド・ニュイのブドウ畑は、標高200~400mのなだらかな斜面の丘にあります。
水はけが良く、日照量も豊富に得ることができるため、ブドウ栽培に非常に適した環境です。
ブルゴーニュ地方ではワイン畑はランク分けされていて、最高品質の畑を特級(グラン・クリュ)、次点を第1級(プルミエ・クリュ)と呼ぶのが一般的です。
そしてコート・ド・ニュイには特級から第1級に格付けされた無数のクリマが存在し、ブルゴーニュ地方の中でも特に品質が高いエリアとして知られています。
また、フランスではワインの品質、土壌、栽培方法などの産地の個性を守るための法律として「AOC(原産地統制名称制度)」があり、基準を満たした畑はそのAOC名を名乗る事ができます。
コート・ド・ニュイ地区そのものにはAOCはありませんが、コート・ド・ニュイに属する村や畑は独自のAOCを保有しており、以下の8つの村が代表的です。
・マルサネ
・フィサン
・ジュヴレ・シャンベルタン
・モレ・サン・ドニ
・シャンボール・ミュジニー
・ヴージョ
・ヴォーヌ・ロマネ
・ニュイ・サン・ジョルジュ
では、それぞれの村の特徴を見ていきましょう。
■マルサネ
コート・ド・ニュイ地区の最北部に位置する「マルサネ」。
生産量の3分の2を赤ワインが占め、その他に少量の白ワイン、ロゼが造られています。
標高300mほどの斜面に広がるブドウ畑は、東南向きということもあり日照量が豊富です。
マルサネの赤ワインの特徴は、色調が美しく、長期熟成向き。
ブルゴーニュの村名ワインの中では、比較的軽めの味わいに仕上がっています。
なお、マルサネには特級畑、第1級畑はありません。
■フィサン
コート・ド・ニュイ地区の北部に位置する「フィサン」は、マルサネが認定されるまで最北端のAOC村でした。
大部分が赤ワインを閉めていますが、少量の白ワインも造られています。
フィサンにはプルミエ・クリュがいくつかありますが、その中も特に有名なのは「クロ・ド・ペリエール」でしょう。
こちらで造られるワインは、紫がかった朱色の色調で、上品な芳香と力強い味わいが特徴です。
■ジュヴレ・シャンベルタン
1936年にAOC認定を受けた「ジュヴレ・シャンベルタン」は、ブルゴーニュ地方の中で最も有名な赤ワイン産地の一つです。
中でも別格なのは、かの皇帝ナポレオンが愛飲していたとされる「シャンベルタン」や「シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ」でしょう。
南部に9つの特級畑があり、男性的と例えられる力強い味わいのワインが造られています。
こちらの村名AOC認定の対象となるのは赤ワインのみです。
■モレ・サン・ドニ
「モレ・サン・ドニ」は、ジュヴレ・シャンベルタンとシャンボール・ミュジニーの間に位置する小さな村です。
1936年にAOC認定を受け、5か所の特級畑と20か所の1級畑を擁しています。
その中でも特に有名なのは、グラン・クリュとして有名な「クロ・ド・タール」でしょう。
モレ・サン・ドニは他の村と比べると、突出した派手さはなく、落ち着いた印象です。
名の知れた村に挟まれていることもあってあまり目立ってはいませんが、力強く優雅な味わいを持つ素晴らしいワインを生産しています。
生産量のほとんどを赤ワインが占めており、その他は白ワインを少量生産しています。
■シャンボール・ミュジニー
コート・ド・ニュイ地区の中部に位置する「シャンボール・ミュジニー」は、女性的でエレガントなワインを造る産地として有名です。
ボンヌ・マールとミュジニーの2つのグラン・クリュがあり、赤ワインがメインで造られていますが、特級のミュジニーではほんのわずかな白ワインも生産されています。
シャンボール・ミュジニーのワインは女性的と例えられる通り、渋みが少なく柔らかい印象を持ち、美しい外観が特徴です。
■ヴージョ
「ヴージョ」が擁する畑は特級「クロ・ド・ヴージョ」のみですが、50haという最大級の広さを誇ります。
石灰岩や泥灰土といったブドウ栽培に適した土壌を持ち、良質なブドウが栽培されています。
ヴージョには80人近くの生産者が存在し、それぞれ品質や味わいに差が出るため、ワインのスタイルは様々です。
■ヴォーヌ・ロマネ
コート・ド・ニュイ地区の中南部に位置する「ヴォーヌ・ロマネ」は、世界トップクラスの銘醸地として知られています。
トップクラスを誇る理由は、気候、土壌、日照条件が優れており、ブドウ栽培に適した環境であることが挙げられるでしょう。
また、ブルゴーニュで最高峰と称される「ロマネ・コンティ」を生みだす産地としても知られています。
ロマネ・コンティをはじめとした6つの特級畑は、フランス・ブルゴーニュで最高級の産地として名高いです。
■ニュイ・サンジョルジュ
「ニュイ・サンジョルジュ」は41にも及ぶ1級畑を持ち、逞しい男性的なワインが造られています。
生産されているのはピノ・ノワール100%の赤ワインが大部分を占めており、白ワインも造られていますが、その量はわずか2%ほどしかありません。
ニュイ・サンジョルジュにグラン・クリュはありませんが、上質なワインが数多く産出されています。
こちらでは、それぞれの品種の特徴をご説明いたします。
ピノ・ノワール
ピノ・ノワールは世界中で広く栽培されている黒ブドウ品種の一つで、栽培面積は世界第10位を誇ります。ドイツでは「シュペート・ブルグンダー」、オーストリアでは「ブラウアー・ブルグンダー」など、国や地域によって呼び名が異なるブドウです。
中間くらいの大きさの粒で薄めの果皮を持つピノ・ノワールは、果皮が薄いことから病害にかかりやすく、栽培が難しい品種として知られています。
しかし、ブドウ自体は非常にポテンシャルが高く、明るめの色調で、華やかで魅力的な香りと繊細な味わいを持つワインに仕上がります。
ただ、繊細さと香りが特徴のブドウなので、一気に成熟してしまうとその特徴が失われやすく、温暖な土地での栽培はあまり適していません。
原産地のフランス・ブルゴーニュ地方では、繊細で上品な味わいのワインが造られています。
ピノ・ノワールはシャンパーニュといった例外を除いて、基本的に100%使用して造ることが大前提です。
そのため、コート・ド・ニュイでもピノ・ノワール100%の赤ワインが多く産出されています。
単一品種で造られることから産地によって味わいに違いが出やすく、同じブルゴーニュ地方でも畑ごとに様々な味わいを楽しむことができます。
シャルドネ
シャルドネは世界で最も人気が高い白ブドウ品種として知られ、多くのワイン生産地で栽培されています。原産地はフランス・ブルゴーニュ地方で、マコネ地区のシャルドネ村が原産とも言われていますが、今のところその真偽は明らかになっていません。
小さめの粒と薄めの果皮を持ち、早熟タイプであることから冷涼な土地でも栽培可能です。
ブドウ品種としては突出した個性が少なく、味わいなどに目立った特徴はありません。
しかし、その分土地の環境や造り手の技術・醸造方法によって味わいに違いが出るため、産地によって様々な表情を見ることができます。
そのため、様々なエリアのワインを飲み比べて、味わいの違いを比較をするのも面白いでしょう。
ブルゴーニュというと赤ワインが有名ですが、コート・ド・ニュイ地区では少量ではあるものの、シャルドネを使用した上質な白ワインやロゼも造られています。
その他のブドウ品種
上記でご紹介した品種の他にも、コート・ド・ニュイのワインには「ピノ・ブラン」、「アリゴテ」など様々なブドウ品種が使用されています。購入を検討されているお客様は、是非こちらを参考にお選びください。
コート・ド・ニュイのワインの選び方
銘醸地コート・ド・ニュイ地区には数多くの特級畑(グラン・クリュ)や一級畑(プルミエ・クリュ)があります。そのためワイン生産者も多く、どのワインを選べば良いのか迷ってしまう方も多いかもしれません。
特に、ブルゴーニュワインはフランスのAOC全体の25%にあたる100個ものAOCを保有しており、ワイン名の表記が複雑になっています。
まず冒頭に畑や村名のAOCを表記、続いて生産者名、ヴィンテージの順に表記されるのが一般的です。
クリマ(畑)によってブドウの特徴やAOCの規定が異なりますので、その特徴から選んでみるのも良いでしょう。
それでは、コート・ド・ニュイ地区にある代表的なクリマをいくつかご紹介します。
■シャルム・シャンベルタン
シャルム・シャンベルタンは、ジュヴレ・シャンベルタン村の南部に位置するグラン・クリュです。
シャルム・シャンベルタンの土壌は、石灰岩を含んだ粘土質。
こちらで造られるワインは他の特級畑に比べて軽やかな印象があり、豊富な果実味が特徴です。
南側に接するマゾワイエール・シャンベルタンも、「シャルム」の名を名乗ることができます。
■マジ・シャンベルタン
ジュヴレ・シャンベルタン村の最北に位置する「マジ・シャンベルタン」は、コート・ド・ニュイの中でも、最北となるグラン・クリュです。
マジ・シャンベルタンという名は、”小さな家”を意味する言葉からきています。
石灰岩の土壌を持ち、力強いスタイルのしっかりとした構造のワインが造られています。
■ミュジニー
ミュジニーは、コート・ド・ニュイの中心に位置するグラン・クリュです。
他のグラン・クリュよりも石灰岩が少なく、粘土質が多い土壌を持ちます。
ミュジニーで造られるワインは、深い紫がかった紅色で、スミレやカシスの香りから時間が経つと皮製品の香りに変化します。
タンニンと複雑さのバランスが絶妙で、力強さの中に上品さを感じる味わいが特徴です。
■リシュブール
最高峰とされるロマネ・コンティの南側に接するリシュブールは、ヴォーヌ・ロマネ村にあるグラン・クリュです。
石灰質の母岩と粘土質が薄く広がる表土の土壌を持ち、華やかなアロマと芳醇で特別な味わいのワインが生産されています。
■リュショット・シャンベルタン
リュショット・シャンベルタンはジュヴレ・シャンベルタン村にあるグラン・クリュで、マジ・シャンベルタンと同じ斜面に位置しています。
名前の由来は、”岩”を意味する言葉のロシェだと言われいます。
岩が多いことから痩せた土壌になっており、こちらで造られるワインは若いうちは強い渋みを感じやすいです。
■ボンヌ・マール
ボンヌ・マールは、シャンボール・ミュジニー村とモレ・サン・ドニ村にまたがるグラン・クリュです。
2つの村にまたがってはいるものの、ほとんどがシャンボール・ミュジニー村に面しています。
しかし、ワインのスタイルとしてはモレ・サン・ドニ村寄りで、上品さがありながらも力強い味わいが特徴です。
次に、コート・ド・ニュイ地区の中でも有名なドメーヌ(ブドウ栽培から醸造・瓶詰を一貫して行う生産者)をご紹介します。
同じ畑やブドウ品種でも生産者によって大きく特徴が異なりますので、選ぶ際のご参考にしていただけましたら幸いです。
■ルイ・ジャド
「ルイ・ジャド」は、1859年にルイ・アンリ・ドゥニ・ジャドによって設立された名門ドメーヌです。
ブルゴーニュの格付け畑をいくつも取得し、現在は210haに及ぶ自社畑を所有しています。
ブルゴーニュで最大級の規模を誇るルイ・シャドは、堅実なワイン造りと高品質であることが世界的に有名です。
名書「ワインバイヤーズガイド」では、かのDRCやドメーヌ・ルロワと並んで五つ星にランク付けされています。
■デュガ・ピィ
「デュガ・ピィ」は、多くのワイン愛好家を魅了するブルゴーニュのトップドメーヌです。
カルト的な人気を誇り、その人気の証拠として常に入手困難となっています。
デュガ・ピィはシャルム・シャンベルタンやマジ・シャンベルタンなど、ワインファンなら誰もが憧れるグラン・クリュを擁しており、ビオロジック栽培を行っています。
(※ビオロジック栽培とは化学肥料を使用せず、有機肥料を使用する栽培方法のこと)
以上、著名なクリュやドメーヌについて紹介させていただきました。
紹介しきれないため割愛しますが、ラインナップにあるその他のワインも非常におすすめになっています。
ワインショップソムリエでは数あるコート・ド・ニュイのワインから厳選したワインだけを取り揃えておりますので、安心してお選びください。
コート・ド・ニュイのワインの楽しみ方
コート・ド・ニュイには数多くの格付け畑があり、どのクリマ(畑)でも上質で素晴らしいワインが造られています。それぞれのクリマごとに違った味わいを楽しむことができますので、飲み比べてみて味わいを比較してみても面白いでしょう。
白ワインもありますが赤ワインが主流ということで、ボルドー・メドック地区の赤ワインと比較すると大きな違いがお楽しみいただけます。
また、同じくコート・ドールに属する白ワイン銘醸地「コート・ド・ボーヌ」の白ワインと赤白セットで揃えるのも統一感があっておすすめです。
コート・ド・ニュイで主流となっているピノ・ノワール100%の赤ワインですが、料理と一緒に楽しむ場合は和食に合わせると良いでしょう。
例えば、すき焼き、トマトベースの鍋、肉じゃがなどといった家庭料理と相性が良いので、是非普段のお食事に取り入れてみてください。
また、普段のお食事に合わせる以外に、ホームパーティーや女子会など華やかな場にもおすすめです。
特に、特別な日や大切な方への贈り物を選ぶなら、グラン・クリュの逸品が最適でしょう。
価格帯も1万円前後のものから数万円のものまで幅広いラインナップがありますので、ご予算やシチュエーションに応じて選択しやすくなっています。
ブルゴーニュワイン好きの方であれば、間違いなく喜ばれるプレゼントになりそうです。
世界で最も偉大な赤ワインを生みだす、ブルゴーニュきっての銘醸地として知られる「コート・ド・ニュイ」。
ワインショップソムリエではその中からソムリエ厳選の一押しワインだけを取り揃えていますので、是非この機会にご堪能されてみてはいかがでしょうか。
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