イタリア全土でブドウ栽培・ワイン醸造が行われており、その生産量は毎年フランスと1、2位を争うほど。イタリアでのワイン造りが始まったのは、紀元前10世紀ころと言われており、フランスよりも古い歴史を持っています。
そのため、イタリア固有のブドウ品種が未だ数多く栽培されており、その数は数千種にものぼるといわれています。イタリアワインを全体的に俯瞰すると、陽気で明るいキャラクターのものが多く散見されます。
果実味がたっぷりと感じられますが、重たすぎないライトボディからミディアムボディの飲みやすいワインが多い傾向です。
ただし、その味わいには多様性があり、北部は冷涼な地域であるため、繊細でエレガント、かつ骨格もしっかりとしたモダンなワインが多く、中部はブレンドを主体としたバランスの良い赤ワイン、南部はボリューム感と飲み応えのあるワインといったバランスになっています。
近年では、国際品種を使用したワインも多く見受けられるようなってきており、イタリア固有品種と国際品種をブレンドした、新しいタイプのワインなども人気があります。
カジュアルなワインから高級ワインまで、幅広いワインが揃っている、探求しがいのあるワイン生産国です。
イタリアの赤ワイン
イタリアの赤ワインというと、陽気な雰囲気の果実味溢れた、ライトなワインが多いという印象の方もいるかもしれません。食事とワインを合わせる文化が当たり前のイタリアだけに、日常使いするようなタイプの場合、そういった手軽で飲みやすいワインであることは間違いありません。ただし、イタリアの原産地呼称である「DOC」カテゴリ以上の高級ワインにおいては、洗練されたバランスの良い赤ワインが多く生産されています。
北部では、ネッビオーロから酸がしっかりとしたエレガントな赤ワインが生産されており、中部トスカーナ州ではサンジョヴェーゼをブレンドの主体とした果実味と酸がしっかりとしたワイン、南部のカンパーニア州ではボリューム感のあるアリアニコを使用した赤ワインなどが造られています。
また、トスカーナ州のボルゲリといった場所では、国際品種を使用した新しいイタリアワインが生産されており、その場所のワインを「スーパータスカン」などと呼んでいます。
そのほか、赤ワインを発泡させたランブルスコや使用ブドウを陰干ししたアパッシメントから造られるヴィーノ・パッシート、アルコール度数の強めのアマローネなどの高級ワインもあります。
この赤ワインの多様性こそ、イタリアワインの特徴でしょう。
イタリアの白ワイン
イタリアは、白ワインでも有名な生産国です。トレッビアーノという白ブドウ品種を使用したカジュアルなワインが代表的ですが、香りが華やかで酸は穏やか、果実の甘さを感じさせる風味で、日常使いにはぴったりです。イタリアの場合、全体的にアロマが華やかでまるみのある、優しい飲み心地の白ワインが多い傾向にあります。
そんなイタリアの白ワインですが、世界的に人気が高いのが、発泡性ワインです。
イタリアには、シャルマ方式というタンク内で二次発酵させるスパークリングワインが多く、それらから造られるプロセッコは飲み口が優しくほのかな果実の甘さもあるため、日本国内でも注目され始めています。
北部ではシャンパーニュ同様の瓶内二次発酵を経たスパークリングワインも造られており、それらの品質の高さも注目されています。また、イタリアの白ワインは、天候の良さからオーガニック系のものも多く、個性的で面白いものも少なくありません。
赤ワインだけでなく、白ワインも多様性があるのでいろいろと試してみてください。